中古マンションの購入って、ネットで調べると「流れは大きく7ステップ!」みたいな図解がすぐ出てくる。でもあれ、一番知りたいところを全部すっ飛ばしてるんだよ。実際いくら飛ぶのか、いつ何を払うのか、どこで揉めるのか。そこが知りたいんだって話。
この記事は、中古マンション購入の流れを順番に追いながら、「ここで何が起きるか」「ここでいくら取られるか」を淡々と並べていく。夢のマイホームというより、現実の資金流出シミュレーションとして読んでほしい。
全体の流れはざっくり7ステップ
- 相場とエリアの当たりをつける(情報収集)
- 資金計画を立てて事前審査を出す
- 内見して、部屋だけでなく建物と管理状態を確認する
- 買付証明書を出して価格を交渉する
- 売買契約を結んで手付金を払う
- 本審査 → 金銭消費貸借契約(ローン契約)
- 決済・引き渡し → リフォーム・引っ越し
内見から引き渡しまでの期間は、おおむね1.5〜3ヶ月。ここにリフォームを挟むと+1〜2ヶ月見ておくといい。
ステップごとに何が起きるか
1. 情報収集 — 公開サイトに出てる物件が全部じゃない
一般公開の物件サイトに載っているのは、いわば氷山の一角。業者専用の物件情報ネットワークには、まだ一般公開前の物件が普通に流れている。
これは別に裏口でもなんでもなくて、昔からある普通の商習慣。なのに誰も教えてくれない。仲介業者に「この条件で、まだ公開してない物件ありますか」とストレートに聞くと、けっこう出てくる。聞かなきゃ損するだけのやつ。
2. 資金計画と事前審査
見るべき数字は4つ。頭金・諸費用・毎月返済額・ボーナス返済額。事前審査は無料で、複数の金融機関に同時に出せる。ここで勘違いしてる人が多いのが、事前審査=本審査じゃないという点。事前審査は「たぶん貸せます」レベルの話で、本審査で落ちることも普通にある。
あと、「審査が通った金額=返済していける金額」ではない。それは単に金融機関が回収できると判断した上限。返済比率は自分で計算するしかない。
3. 内見 — 部屋より「建物と管理」を見る
素人は室内のきれいさに目が行く。だが本当に見るべきは共用部分。共用廊下、エントランスの掲示板、ゴミ置き場、駐輪場、給水塔やポンプ室の状態。
特にエントランスの掲示板は宝の山。修繕積立金の値上げ、大規模修繕の予定、管理費滞納者の一斉督促——こういうのが普通に貼ってある。内見のついでに1分で読める。
さらに、管理組合の総会議事録や長期修繕計画、滞納状況のまとめは「重要事項調査報告書」として契約前に開示される。だが、内見の段階で見せてくれと頼むこともできる。ここで断られたら、かなり匂う。
4. 買付証明書と指値交渉
買付証明書に法的拘束力はない。「いくらで買いたい」という意思表示の紙。問題は、多くの人がここで売主の提示価格をそのまま書いてしまうこと。
中古は指値が普通に通る。売主が買い替えで急いでいる、3ヶ月以上売れ残っている、相場より明らかに高い——こういう条件なら刺さりやすい。「失礼かな」と思う必要はない。数%下がれば諸費用が丸ごと浮く。
5. 売買契約と手付金
契約書と重要事項説明書にサインし、手付金を払う。目安は売買価格の5〜10%。
必ず確認すべきは契約不適合責任の内容(昔でいう瑕疵担保責任)と、「現状有姿」の一言。現状有姿で売る契約だと、引き渡し後に雨漏りが見つかっても売主は基本的に責任を負わない。契約書に書いてあることを読まずにサインする人が多いけど、ここは一番読むべき場所。
6. 本審査と金銭消費貸借契約
ここでようやく本審査。落ちることもある。健康状態によっては団体信用生命保険に加入できず、条件が変わることもある。
本審査に落ちた場合、多くの契約にはローン特約が付いていて解除できる。ただし解除できる期限が決まっている。期限を過ぎてから落ちると、手付金が戻らない可能性が出てくる。スケジュールは渋めに組んでおくのが正解。
7. 決済・引き渡し
残金と諸費用を一括で振り込み、司法書士立ち会いのもとで登記し、鍵を受け取る。この日から固定資産税・都市計画税、管理費、修繕積立金の日割り精算が発生する。
費用の目安 — 物件価格以外に何が飛ぶか
- 仲介手数料:価格×3%+6万円+消費税(これが上限)
- 印紙税:売買契約書に数千円〜数万円
- 登記費用:登録免許税+司法書士報酬で10〜30万円前後
- ローン事務手数料・保証料:合わせて数十万円
- 火災保険:一括払いで10〜30万円
- 固定資産税・都市計画税の日割り:数万〜十数万円
- 管理費・修繕積立金の日割り:数万円
- 引っ越し費用:数万〜数十万円
- リフォーム費用:中古は0〜数百万円。築年数次第でここが一番読めない
ざっくり合計すると、物件価格の6〜10%。2000万円の物件なら140〜200万円が、価格とは別に消える。
そして厄介なのは、この諸費用のピークが決済日に集中すること。頭金と諸費用と引っ越し費用を同時に払うので、直前で現金が足りなくなる人が続出する。
誰も教えてくれない落とし穴
- 修繕積立金は買ったあとに上がる。長期修繕計画の後半を見ると、値上げ前提のシミュレーションになっていることが多い。一時金の徴収が予定されているケースもある。毎月の返済額だけ見て決めると、数年後に家計が壊れる。
- 管理費の滞納は、建物全体の問題。滞納総額は重要事項調査報告書に書いてある。滞納が多いと、将来の修繕ができずに一時金で一気に集めることになる。
- 「リフォーム済み」の意味はバラバラ。壁紙と床を張り替えただけなのか、配管や防水まで触っているのかで価値が全く違う。水回りの配管は管理組合のルールで勝手に変更できないこともある。
- 住宅ローン控除は中古だと条件が付く。築年数や登記面積などで対象外になることがある。入居前に確認しないと、年間で十万円単位の差になる。
- 二重ローン期間が発生する。賃貸の退去日と引き渡し日のズレで、家賃とローンが1ヶ月重なる。ここで数万円〜十数万円が飛ぶ。
- 仲介手数料は上限であって定価じゃない。特に売主が業者の物件では、交渉の余地が残っていることがある。
少しでも安全に、少しでも安く進める動き方
- 事前審査は複数社に出して、金利と団信の条件を並べて比べる
- 内見の時点で重要事項調査報告書と長期修繕計画を見せてもらう
- 指値は恥ずかしくない。相場と売れ残り期間を見て普通に出す
- 諸費用もローンに含められるか確認する(ただし総返済額は増える)
- 火災保険は自分で比較する。ここは驚くほど差が出る
- 決済日の現金残高を逆算して、3ヶ月前から資金を動かさない
まとめ:流れは教えてもらえるが、金額は教えてもらえない
中古マンション購入の「流れ」自体は、調べればいくらでも出てくる。7ステップだの8ステップだの、みんな親切に書いてくれる。
だが本当に差がつくのは、各ステップの裏で何が起きていて、いくら払うことになるのかという部分。修繕積立金の値上げ予定、滞納の総額、指値の通し方、二重ローン期間、決済日に集中する現金の山。こういうのは不動産屋の営業トークでも、きれいなまとめサイトでも、なぜか説明されない。
でも、聞けば教えてくれる。見せてと言えば見せてくれる。交渉していい場面で、黙って言い値でサインしなければそれだけで済む話だったりする。知ってるか知らないか、それだけで百万円単位で差が出る——中古マンション購入って、結局そういう世界だ。