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住宅ローンの金利比較と選び方

住宅ローンを選ぶとき、まず金利ランキングを眺める。それ自体は間違ってない。ただ、そこに載っている数字をそのまま信じると、ほぼ確実に損する。理由はシンプルで、住宅ローンの「金利」には少なくとも3つの顔があり、ランキングに出ているのは一番おいしそうな顔だけだからだ。

この記事では、金利比較のどこが罠で、どこを見れば本当に得をするのかを、ぶっちゃけベースで整理する。

住宅ローンの金利は「3つ」ある

まずここを押さえないと、比較そのものが成立しない。

  • 店頭金利(基準金利):金融機関が表向き提示している定価。実際にこの金利で借りる人はほぼいない。
  • 優遇後の適用金利:店頭金利から一定幅を差し引いた後の金利。実質の勝負はここ。
  • 実行金利:契約時に確定する最終的な金利。変動型なら契約後も動き続ける。

比較すべきは2番目。そして2番目の数字は、店頭に貼り出されていない。ここが最初の関門だ。

優遇幅は「属性」と「交渉」で決まる

同じ金融機関でも、年収・勤続年数・頭金の額・既存の取引状況によって引き下げ幅は変わる。さらに、他社の提示額を出した瞬間に数字が動くことも珍しくない。

表向きは「個別の金利交渉は受け付けていません」と言われる。だが実際には動く。これはもう業界の常識に近い。黙って言い値で契約する人がいるから、交渉した人に優遇が回る構造になっている。

ネット専業と店舗型、金利差の正体

ネット専業の金利が低いのは、人件費と店舗コストがないから。逆に店舗型が高いのは「対面で相談できる」ことへの対価だ。

ただし、ここで決め打ちすると外す。ネット専業でも店舗型より金利が高いケースは普通にあるし、店舗型でもネット並みの金利を出すところはある。「ネット=安い」は傾向であって保証ではない。

見るべきはチャネルではなく、自分の条件で出てきた適用金利そのものだ。

変動金利に隠れた「3つのルール」

変動金利が最安に見えるのは、金利上昇リスクを借り手側に渡しているから。これ自体は善悪の話ではない。だが仕組みを知らずに選ぶと詰む。

1. 5年ルール

金利が見直されても、返済額の見直しは5年ごと。つまり金利が上がっても、次の見直しまで月々の支払額は変わらない。

2. 125%ルール

返済額の上昇は、原則として直前の返済額の125%まで。急激な金利上昇でも月々の負担は急には増えない。

3. 未払い利息

ここが本命。1と2がセットになると、金利上昇時に「返済額は上がっていないのに利息が払いきれない」状態が発生する。払いきれなかった利息は未払い利息として繰り越され、元本はほとんど減らない。

「変動はいつでも固定に切り替えられる」も半分ウソだ。切り替え時の金利はその時点の相場。金利が上がってから逃げても、逃げた先は高い。

金利以外に必ず比較すべき5項目

  1. 総返済額(元利合計):金利0.1%の差より、借入期間と借入額の影響のほうが桁違いに大きい。
  2. 事務手数料・保証料:定率型と定額型で数十万円差が出ることはざらにある。
  3. 団信の内容と上乗せ金利:ここは後述。
  4. 繰上返済の手数料と最低金額:無料・1万円単位か、有料・10万円単位かで使い勝手が全く違う。
  5. 金利の見直しタイミングと条件:いつ、何を基準に、どの幅で動くのか。

団信は「無料」ではない

「団信無料」と書いてあっても、そのコストは金利に織り込まれているだけだ。若くて健康な人にとっては、実質的に過剰な保険料を払っている可能性がある。逆に持病があると、そもそも引けない・上乗せが必要という現実もある。金利だけ揃えて団信を無視すると、比較の意味がなくなる。

実際の比較手順(テンプレ)

  1. 借入額・期間・頭金を固定して、条件を全社で揃える。
  2. 3〜5社から適用金利ベースで見積もりを取る。店頭金利は無視。
  3. 同じ条件で総返済額を横並びにする。
  4. 一番低い見積もりを持って、他社にぶつける。
  5. 本審査の前に金利の適用条件と有効期限を確定させる。
  6. 契約後も繰上返済と借り換えの選択肢を残しておく。

ぶつけるときの注意点

見積書は必ず書面でもらう。口頭の「いけますよ」はほぼ意味がない。金利の有効期限も要確認で、期間限定の引き下げは実行日とのズレで無効になることがある。せっかく下げた金利が消えるのは、地味に痛い。

よくある落とし穴

  • 金利だけで選ぶ:諸費用と団信で簡単に逆転する。
  • 最安金利の商品が自分も引けると思う:優遇幅は人によって違う。広告の数字は最大値。
  • 変動が安いから変動:リスク許容度の話を一切していない。
  • 繰上返済は「余裕ができたら」:手数料無料なら、早いほど利息が減る。順番を間違えると効果が半減する。
  • 借り換えは面倒だからやめる:金利差1%で総額が数百万変わることもある。手間の対価としては悪すぎる。

結論:見るべきは「看板」ではなく「自分の数字」

金利比較で本当に重要なのは、ランキングの1位を探すことではない。自分が実際に適用される金利と、金利以外の総コストを並べて、総支払額で判断することだ。

表示金利は入口の看板にすぎない。看板の数字は誰にでも見えるが、実際の数字は聞かないと出てこないし、黙っていると不利な方に倒れる。比較とは、結局は情報を取りに行く行為だ。ここを理解してから動くかどうかで、同じ物件・同じ借入額でも数百万円の差がつく。

逆に言えば、やることはそんなに多くない。条件を揃える・適用金利で見積もる・総額で並べる・他社にぶつける。この4つを押さえるだけで、金利比較は一気に「意味のある作業」に変わる。